「会社員だから確定申告は関係ない」
そう思っていませんか?
毎月の給与から所得税や住民税が天引きされていますが、実は、払いすぎているケースが少なくありません。そこに関係する代表例が医療費控除です。
私は薬局薬剤師として20年以上、日々多くの患者さんと接してきました。その中で、「この薬代、医療費控除の対象になるのに…」と感じる場面を何度も見てきました。
この記事では、
- 確定申告をしたことがない会社員
- 確定申告を1~2回はやったことはあるけど、正直よく分かっていない会社員
こうした方々に向けて、薬剤師の視点で医療費控除を分かりやすく解説します。
「税金って難しそう…」という不安を減らし、自分の給与明細に書かれている税金の意味に興味を持ってもらうことがこの記事のゴールです。
※制度は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
医療費控除とは?まず押さえたい基本
医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得から差し引ける制度です。
基本ルールは次の通り。
- 対象:自分と生計を一にする家族の医療費
- 条件:年間の医療費が10万円(または総所得金額等の5%)を超える
- 効果:所得税・住民税が安くなる(=還付される可能性)
ポイントは、「医療費控除=お金が戻る可能性がある」という点です。
これは節税ではなく、払いすぎた税金が戻る制度だと考えると分かりやすいでしょう。
薬剤師視点で見る「医療費」の範囲
医療費控除というと、入院費や手術代はイメージしやすいと思います。さらに、薬局で支払うお金も多くが対象になりますし、次のような費用は控除対象になりやすいです。
- 病院や歯科医院の診療費
- 処方箋による医療用医薬品の自己負担分
- 治療目的で使う市販薬(条件あり)
- 通院のための公共交通機関の交通費
特に見落とされやすいのが、薬代と交通費です。
薬局では数百円~数千円の支払いが多いため、「大した額じゃない」と感じがちですが、積み重なると意外と大きな金額になります。
医療費控除でよくあるミス3選【薬剤師が解説】
ここからは、現場でよく見かける医療費控除のミス3つを紹介します。
ミス①:薬代は医療費にならないと思い込んでいる
「薬局で払ったお金は対象外ですよね?」
これは非常によくある誤解です。
医師の処方箋にもとづく薬代は、すべて医療費控除の対象です。
調剤薬局で発行される領収書は、確定申告でも正式に使えます。
さらに、セルフメディケーション税制の対象になる市販薬もあります。
薬剤師として言えるのは、「薬代=対象外」と考えるのは非常にもったいない、ということです。
ミス②:家族の医療費を合算していない
医療費控除は、生計を一にする家族の分も合算可能です。
たとえば、
- 配偶者の歯科治療費
- 子どもの小児科代や薬代
- 親の通院費
これらを一番所得の高い人がまとめて申告することで、還付額が増えるケースもあります。
「それぞれが少額だから…」と放置してしまうのは、典型的な損パターンです。
ミス③:「10万円を超えていないから無意味だと思っている」
医療費控除は「10万円超」とよく言われますが、正確には「10万円 or 総所得金額等の5%のどちらか少ない方」が基準です。
年収が低めの方や、育休や転職などで収入が少ない年は、10万円未満でも対象になる可能性があります。
「どうせ超えてないから」と計算すらしないのは、非常にもったいない判断です。
確定申告をすると「給与明細の見方」が変わる
確定申告を経験すると、「こんなに税金を払ってたんだ…」を知ることになります。
毎月の給与明細にある「所得税」「住民税」は、ただ引かれているお金ではありません。
自分でコントロールできる余地があるお金です。
医療費控除は、その第一歩としてとても分かりやすい制度です。
薬は「健康のために必要な支出」です。
しかし、それを理由に、税金面で不利になる必要はありません。
薬局のカウンターで患者さんと接するたびに、
「この人、きっと確定申告していないだろうな」
そう感じることが何度もありました。
この記事が、自分の医療費を振り返るきっかけ、給与から引かれている税金に目を向けるきっかけになれば嬉しいです。
まとめ|まずは領収書を集めるところから
医療費控除は、知っているかどうかで結果が変わります。
- 薬代は医療費になる
- 家族分は合算できる
- 10万円未満でも可能性あり
まずは、1年分の医療費を一度集計してみることから始めてみてください。
そこから、あなたのお金の見え方が少しずつ変わっていくはずです。

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